15曲を通して考えたロミオ&ジュリエットの話。

こんにちは。ブログリニューアル。アメブロから引っ越してきました。いつも長文を極めているからいい加減目次つけようと思って色々やってみたもののあっちではうまくできなかった。こちらで改めてよろしくお願いします。まずは過去記事の引っ越し。ロミジュリから。



 だいぶ日にちが経ってしまいましたが、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」全公演終了お疲れ様でした!振り返ってみると、私は東京9公演と刈谷2公演と梅田6公演の計17公演観に行ってました。なんとびっくり上弦を超えている!!本当に本当に楽しかったです。再演と同時にキャストも発表されてマーキューシオ平間壮一の文字を見つけて発狂した日から、大千穐楽までとにかくずっとずっと幸せなロミジュリ期間でした。毎日ロミジュリのこと考えてた。ロミジュリがそばにいる生活。あっという間だった。こんなに濃いのにたった5日間の出来事なの?ってなるこのお話と同じくらいに。2017年はまだ私はミュージカルに興味がなくて平間くんにも出会っていなくて。平間くんを好きになってから、観たかったと特に思っていた作品の1つがロミジュリでした。だからまさか観れる日が来ると思ってなくて本当に嬉しかった。今でも夢みたいだ...公演期間が春休みにかぶっていたおかげでここまで通うこともできたし本当に運と縁に感謝。もともとバレエのロミオとジュリエットが大好きだったから、その大好きな作品にミュージカルという違う形で触れられたことも、その大好きな作品の世界で生きる平間くんを観られたことも本当に幸せでした。幸せだったロミジュリ期間を振り返りながらこの記事を書いていたら気づいたら狂気の量になっていたのでいくつかに記事を分けて出すことにします。毎度のことではあるけれど、どうしても平間定点カメラをしてしまうのでマキュが出ているシーンは基本マキュしか観れていません。だからいつの間にロミオとジュリエットが出会っていたりとか、偏りがあることは先に言っておきたい...あと今更って感じだけど平間くんの回ばかり観ているので私の記事に出て来るマキュは特別な記載がない限りは平間くんのマキュです。ひらまきゅです。あとベンはほぼ達成くん、ティボはほぼヒロティボ寄りで書いているかも。
 まずこの記事は公演全体の感想と、抜粋した15曲を通しての考察感想をまとめてます。物語全体とキャラクター/役者さんごとの考察感想は別の記事に。

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改めて。ロミオ&ジュリエットはとにかく世界観と曲が大好きなミュージカルでした。かっこよさ、美しさ、可愛らしさ、強さ、弱さ、喜怒哀楽や愛、憎しみ。他にも色々、この世に存在するあらゆるものが詰まっていて、詰まっているんだけど出てくる人間達はどこか満たされていない人ばかり。どんなに楽しいシーンでも影が覆っているような空気感、世界観はとても好みだったし、ヴェローナという舞台や近未来という時代設定がありながらもどこか無国籍感があったり、過去なのか現代なのか未来なのか完全な別世界なのかわからないような雰囲気も面白かった。メインセットはほぼ骨組みのみでできていて無機質なのに対して衣裳は1人につき何種類の素材を使っているんだろうと思うくらい装飾が多かったりする対比も面白くて。最近気づいたけど私はショー寄りのミュージカルがあまり刺さらない人間みたいで、芝居寄りが好きみたい。ロミジュリはショー感がほとんどなくて、もちろん歌がメインになってはいるしダンスも多いけれど芝居がずっしり感じられたのが自分がこんなにハマった理由の1つなのかなあと。考察してしんどくなるのが大好きな人間なのでハッピーなミュージカル浴びるのも楽しいけど、考えれば考えるほどしんどくてわかったと思ったらわからなくなったりするロミジュリは本当に大好きで楽しくてしんどくて最高でした。曲はどれもカッコよくて好きだけど特に好きなのは「ヴェローナ」「マブの女王」「僕は怖い」「本当の俺じゃない」「決闘」「どうやって伝えよう」かな。1つの曲の中だけでも、歌詞、歌い方、表情でいろんなことを感じられて、気づいたら凄い書いてた。以下、1幕から10曲、2幕から5曲抜粋して書いてます。曲ごとの感想と言いつつかなりマキュ寄り考察になってる。

 

 

1幕

諍い〜ヴェローナ

 初日、とにかくかっこよくてテンションが上がった。曲調も振付もアクロバットも本当に凄くかっこよくて。死の動きに誘われるように全員が立ち上がって低い叫び声と同時に曲が変わる瞬間は毎回鳥肌がたったし体が熱くなった。ダンダンって音に合わせて床や手叩く振りとかJALさんがセンターきてジャンプした後、手伸ばす振りとか最高にかっこよくて好き。そしてなにより、開幕後1つ目のセリフがマキュのセリフだってことが凄く嬉しかった。このセリフは日によって言い方が結構違っていて、くたばれキャピュレットを強めに叫ぶ日もあれば低く静かに言う日もあったり、ヴェローナを巻き舌で言ったりドラゴンだを凄く高い声で言ったり。まずこのセリフを聞いて、"今日のマキュ"はどんなかを想像してたくらい、この第一声は凄く大きくて大事だった。マキュが「我らモンタギュー」って誇らしげに言う姿はモンタギューのリーダーらしいかっこよさがあるけれど同時に正式なモンタギューの人間ではないマキュがこの言葉を言う重さ、たった一言だけどこの言葉を高々と言えることは彼にとって凄く意味があるのだろうなあとか考えてしまった。言い聞かせてるみたいに見えて。私はこのセリフを言う時の、言うのがマキュで後ろで旗を掲げているのがベンっていう構図が凄く好きなんですよね。本来なら正式なモンタギューの人間であるベンが言った方が説得力があるだろう言葉をマキュが言っていてベンは旗を掲げていて。でもそれが凄くしっくりくるし何よりその構図にモンタギューの誰もが納得していそうな感じ。マキュは、「世界の王」や「綺麗は汚い」でも感じるけどみんなに信頼されていて、まさにリーダーというか、ガキ大将に近い感じもするけど笑、みんながマキュにならついていく感じがする。ベンはマキュに一種の憧れのような感情を抱いていると私は思っていて。あっ達成ベンね。りょんベンはまたちょっと違うからそれはままたおいおい。ベンは「ヴェローナ」の間ずっと両家の人間たちのいがみ合いをちょっと楽しそうに見ているんだけど自分からはほとんど手を出さない。出さないというか出せないのかな。だからガンガンぶつかっていくマキュを止めてたりはするけど実際はそういうマキュが好きなんだろうと思う。自分はマキュみたいにはできないから。最初はマキュのこと心配して止めるような1番冷静な人なのかと思ってたけど、この曲のラスト、ティボに向かっていくマキュを止めるときのベンって笑ってるんだよね。まあ今はやめとけよ、くらいのニュアンスで。初めてその表情見たとき凄く驚いたのを覚えてる。ベンは自分にはない激しさやリーダーになり得る強さを持ってるマキュが好きだし憧れていて、だから、心配してなだめる兄的要素は見えるけどマキュを頼っているし戦うマキュが好きだから旗を持ってマキュのそばにいるのかなとか思った。

 初日付近、モンタ女子の膝を撫で回したりして絡んでる"男"マキュが大好きだったんだけどあれ後半ほとんどなかったな。マキュがやるモンタギューのドラゴンポーズ、両手だったり片手だったり寄り目だったり、大阪で確か全く違うポーズなときもあったけど、とにかくあの瞬間の片目細めてる表情が好きだった。この曲のマキュは全体的にずっと目がイってて白目剥くくらいのけぞったり、突然笑い出したり奇声あげたりそれこそ薬キメてんのかって感じなんだけど、「決闘」と違って本気で命かけて戦ってる感じじゃない、楽しんでるとすら見える感じが対比的で好きだった。まさに、ただ持て余すエネルギーを喧嘩に使っているだけっていう。ティボも同じく。ヒロティボなんて舌舐めずりとかナイフにキスとかしてたし。キスされたナイフを汚れを払うようにするマキュも好きだった。キャピュレットの人間に触れた箇所を埃払うようにしたりキャピュレット卿に中指立てたり、やることが結構わかりやすくて子供っぽくて。この段階では命がけじゃないっていうのをそういうところからも感じるから後のこと考えるとこういう小さいことですらなんか悲しくなる。この曲のマキュの、目は遠くを見てて焦点があっていなくて時々ナイフを眺めてて、"口が勝手に歌っている"みたいなのがすごく好き。

ひらまきゅの好きポイント箇条書き
・何代にも渡り〜の振付。踊れる人だってこの一瞬でもう分かるの興奮する
・争いの渦に〜の時にやる猫背で手を頭の上で回す動作、その時の目つき
・ジャンピングティボルト襲撃。身体能力の高さが浴びれる瞬間
・たとえ軍隊が〜の前にベンとするアイコンタクトと頷き、そのあとの振付。2人のバディ感最高
・旗飛びからの鮫さんとおでこごつん
・バク転からの上着捌き
・ティボに向かう寸前にしゃがんでスライディングして止まって見上げるところ

・モンタギュー卿に対するお辞儀の角度、手の位置。 諸々完璧
・俺を呼んだ?叔父上の前のやつ(なんていうんだあれ笑、ため息と咳払い混ぜたみたいなやつ)
・去り際の悪魔のような高笑い。ティボに覚えてろよ!って叫んだ日もありそれも好き


憎しみ

 マキュのナイフの本数を数え、ストップモーションの日替わりの動きを観察するのが楽しみだった。あと飛び降りるとき一旦脚を外側に投げ出すようにしてから降りるのがすごく好き。夫人に対しての、お前に俺が止められるのかよ、とでも言いたげな挑発的な態度も好き。耳塞いであからさまに言うことを耳に入れようとしない日もあった。モンタギュー卿に対してと夫人に対してで全く態度が違うのは何故なんだろうなってずっと考えていたんだけど、マキュを快く受け入れてくれたのはモンタギュー卿だけだったんじゃないのかなと思った。夫人は争いを良く思っていないし息子が巻き込まれることを心配してる。従兄弟のベンも自分からガンガン突っ込んで戦うタイプじゃない。どんなに他のモンタギューの若者たちが荒っぽくても2人がリーダーだったらあそこまでにはならなかったのかもしれない。なのにマキュが入ってきてしまった。マキュは激しいしガンガン突っ込むタイプだからキャピュレットを煽る存在だし同時にモンタギューの若者たちを煽動する存在でもあったと思う。マキュの存在は確実に争いに影響を与えたと思っていて。夫人にとってはマキュは厄介な存在だったのかなと。ロミベンの親友だし夫も受け入れてるから自分も表向きは受け入れてるけど心の中では快く思っていない。マキュはそれに気づいているからああいう態度なんじゃないかな。
 次々出てくるナイフを嬉しそうに恍惚とした表情で眺めるマキュのナイフ依存感、好き。マキュにとってのナイフは自分を奮い立たせるような、自分の弱さや脆さを隠すようなものなのかなと思ってる。マキュは「街に噂が」や「決闘」の、迷った時や心が揺らいでいる不安定な時に必ずナイフを出して見てるんですよね。両家の争いに身を投じる、モンタギューの人間として、モンタギューのために戦う自分を写し、後戻りはしない、できないことを確認する、ナイフに誓いを立てているような。それはティボも同じで。ナイフは彼らにとって味方。ナイフは自分を裏切らない、自分を強くしてくれる、守ってくれる存在。ナイフを肌身離さず持ち、眺めることで安心してる。2人は本当に似ている。鏡写しなんだよなあ...そしてマキュが何本も持っているのに対してティボが1本なところも好きで。マキュの身体中に凶器を潜ませてる、自分を凶器で固めてる感じも好きだしティボの1本のナイフに全てをかけている感じも好き。ベンに身体検査されちゃうマキュは可愛い。2人のナイフの対比も好きだけどこの2人とロミベンのナイフの対比もまた良くて。ロミオとベンって自分からナイフを出すことは1度もないんですよね。2人はナイフにすがるようなことがない。マキュとティボはナイフにすがらないと生きていけないくらい、不安や孤独を抱えてて余裕がないけど2人はそんなことはない。ここの対比もすごく好き。ロミオとベンヴォーリオとマーキューシオは仲がいいけど生きてる世界はやっぱり少し違っていて、ティボルトの方が近いんだよねきっと。近いからこそお互い嫌いなのかもしれないけど。
 この曲の演出がストップモーションであることって凄く効果的で巧いなあと思う。戦う男たちと残される女たち(夫人2人)の時間の違い、生きてる時空が、世界が違うんだと思わせるような演出。
 ヒロティボ、「人間は憎み合うために生まれたんだ」って言葉を驚くほど優しいトーンで、恍惚として言うんだよね、「殺しあうために」って言葉も。そうでも思っていないと、そう信じないと、こんな世界で生きれないのだろうな。ティボルトは純粋で優しい。だからこそもうこの世界に希望を見出すことを心のどこかで諦めている。自分に向けられる自分を心配する声、優しく諭す声は「無理だ」と突き放す。どこまでも孤独。この言葉を聞いてからの、「本当の俺じゃない」が本当に辛い。


世界の王ブリッジ〜世界の王

 ロミオはどこどこのくだり、日替わりアドリブ楽しかったなあ。特に好きだったのは、3/9ソワレのマキュ「えっなに?ああ!皆で止まるやつか!」隣の子の顔の前で手叩いてみる「すごい!瞬きしない!ハハハハハ!違うよ!こんなことしてる場合じゃなくて!」です。かわいい。ただのマーキューシオ劇場。アドリブ入れる日は今日のマキュはご機嫌だなーって思ってにやけてた。このシーンのリーダー感が本当にいいんだよな。みんなのことかわい子ちゃんたちって呼んだ時もあって最高だった。わ〜の時の顔で突然平間壮一になるのめっちゃ可愛くて毎回笑ってしまう。からの探すシーン。後半遊ぶの楽しくなってみんながちゃんと指示通りやるのわかって味をしめたひらまきゅは「可愛らしく探せー」とか指示出してたんだけど、ちゃんとみんなそれ通りに探すのただただかわいかった。見せつけられる団結力最高。ちなみにマキュの可愛らしい探し方は体を左右に揺らしながら「ロミオちゃ〜んロミオちゃ〜ん」って呼ぶというものでした。可愛い。AED探す時、大野ロミオはみんなのちょっとしたボケにいちいちきちんと突っ込むからめちゃくちゃ笑った。そんなとこにねえよ!とか。古川ロミオも後半はなんだよそれ!とか突っ込んでて可愛かった。そしてマウストゥマウス。結構ハプニング多発してた笑 ほんとうにしちゃったり思いっきりぶつかったり。するまでがやたら長くてマキュが「早く!死んじゃうから!」って急かしてたことあったんだけど可愛いが過ぎる。死んじゃうからwwwこのシーン入れる意味って正直謎だけどおもしろい。わちゃわちゃして子供っぽくて、ああ、この子たちは子供なんだ、この街に生まれなければ、普通の楽しい、平和な青春を送ってたんだろうなあなんて、気を抜くとすぐそういうしんどい方向に考えちゃう人間なので、こんな楽しいシーンなのに悲しくなった日もあった。純粋さが、無邪気さが、眩しさが切なく映るのがこの作品の好きなところだったりもするんだけど。「そんなんでモンタギューの跡取りが務まるのか?」って言葉、ふざけて言っているように思えるけど実際は結構真顔に近いんだよね。マブの後の真顔もだけど、マキュが時折見せる真顔ってすごく印象的で寂しげに映る。マキュは、ロミオに夢をかけてたと思う。こいつなら自由に生きれる世界を作ってくれるかもしれないって、どこかで思っていたんじゃないかな。でもそういう思いはありつつ、そんな幸せな未来になっても自分がロミオのそばにいれるのかは不安に思っていそう。マキュは今のこの関係性がいつまでも続くことはないとどこかで恐れていそうな、生き急いでるように見えるところがあるって思ってて。それはモンタギューの血が流れてないことへの自信のなさや劣等感も関係してるのだろうけど。こういう、一瞬の表情や何気ない一言だけで色々想像させられてしまうしんどさがマキュには詰まってるんだよなあ。マキュの話はまた後でいっぱいする。

 ロミオの今までの恋愛をマキュは女を置き去りにしてきたっていうのに対してベンは女を振り倒してきたって表現する違い、なんか好きだった。そして途中から入った達成ベンの側宙!オペラグラスでひらまきゅ定点してたら視界に何かが飛んできた時本当にびっくりした笑 かっこよかったです。

ひらまきゅの好きポイント箇条書き
・ここにいる俺たちだの後に手をバン!ってするやつ
・センターで踊るところ。ドセン席だった時、世界の王をセンターで踊る平間くんを浴びれる喜びで満ちあふれた
・ソロ前、歌わないで動きだけになるあの何秒かの表情

・横1列になった時の"朝から夜まで"の表情

 とにかく役としてこんなに踊っている姿を観るのは初めてだったので本当に幸せタイムだった。ニコニコ踊ってると思ったらスッて真顔になる瞬間とか、踊っている時の顔が好き。後半とかアレンジ入れまくっててウェーブ入れたりターン入れたりもう本当にテンション上がった!!!


マブの女王〜僕は怖い

 ソロ。最高。最強。好き。ご褒美タイム。表情歌声振付諸々パーフェクト。
平間さんの語尾を吐息混じりに歌う感じ、最高じゃないですか?伝わる?かな?語尾というか母音を吐息にするみたいな。伝われ!あれが最高に好き。吐息と一緒に色気がダダ漏れる。今夜ヴェローナの~憎きキャピュレットまでの振付すごく好き。そしてみんな大好き「最後に捨てる」のダンダンダンダンダン!の振付。埃のように払うクズさ好きだよ。恋の火遊びを〜で手で心臓にハート描くのも。口付けすれば失神する〜で手を銃にしてバーン!てしたのは無事に映像に残りますのでチェックチェック(平間ボイス)むせ返る匂い〜のあたりの、ポケットに手つっこんで気だるそうに女の子を見下ろす目とかすごくいい。「かい!さん!だー!」からの「じゃあなー」とか、本当にごく普通の青年感があって好きだった。あとラスト2回で突然聞けた「行こうぜベン!」ベン!?!?!?ベン呼び!!!!!!全私が歓喜

 「バレないようにやる」を一度だけ荒々しい口調で言った時があって驚いたんだよね。優しい言い方の日がほとんどだったけど。そしてロミオの返事を待つとき、ワクワクするでもなく心配そうにするでもなく真顔で待っているのが凄く印象的だった。マキュにとってもしここで断られたら、ロミオはどこかに行ってしまうんじゃないか、自分の前からいなくなってしまうんじゃないか、そんな不安があったんじゃないかな。ロミオの「僕は怖い」の感情にどこかで気づいてて。自分を見て欲しい、離れないでほしい、今繋ぎ止めなきゃっていう焦り。必ずこいよって釘までさして。後半なんて「今夜だけはお前にも付き合ってもらう」ってわざわざ今夜だけとまで言ってた。でもここで、自分が冒険に誘ったことでロミオとジュリエットが出会い、終わりが始まってしまう。だからこの曲の後、散々楽しそうにしていたのにロミオが突然暗い表情になって「僕は怖い」を歌うことに初日は驚いたけど観ているうちに凄く納得がいくようになった。「僕は怖い」はロミオのソロだけどマキュにも似た感情があったように思う。「マブの女王」から、悲劇の時計の針は動き始める。終わりが幕を開けてみんなを少しずつ引き込んで行く。ロミオはそれを感じてしまう。マキュもきっとどこかで。そして初めて死が絡む。マキュにとって一番失いたくない存在であるロミオを失うきっかけになるのがマキュのソロ曲なこと、ジュリエットと出会い幸せに満ちる直前の曲で死がロミオを絡め取り始めること。この作品で1番盛り上がる曲でもある世界の王から僕は怖いまでのこの3曲の構成は本当にいいなあと思う。
 

舞踏会~本当の俺じゃない

結局千穐楽までひらまきゅの仮面はずれ続けたのだった…。ちなみに3/9ソワレではりょんベンがずれた仮面直してくれてたから口元見てたらマキュがありがとうって言ってて、ほんわか空間が誕生していた。
 ジュリエットに絡む時のマキュ、なんて言ってるのかなって口元見てたら「かわいいね」って囁いてたの最高に興奮した。イルマちゃんの首にキスする日としない日があるという、気まぐれ加減も最高。"口付けすれば失神する"を現実にするマキュ。しかも仕方ねえキスでもしてやるか、くらいの気持ちでやってそうで最高。そして過激さは日に日に増し、初日は女の子ぽいっの後チャックあげながら戻ってくるくらいで済んでたのに大阪ではぽいっした後上着をバサッとものすごい勢いで脱いだ挙句、肩まではだけてほぼ半裸で戻ってくる始末。最高。そしてそれ見てびっくりしちゃうベンかわいい。このシーンのベン本当にかわいいしかない。達成ベンなんか気が大きくなってるからティボに後ろからポカって殴ろうとして珍しくマキュに止められるし。あのマキュに!つま先踏まれて痛いのアピールするし。マキュ定点だからもっと知らないこと色々あったんだろうなあとは思うけど。夫人とティボのこと盗撮したマキュ、ティボに詰め寄られて端っこに追いやられるけどあそこ下手席に入ると見事にティボにすっぽりと隠されて消えるの面白かった。さすが胸板大輔と華奢なひらまきゅ。ティボはひたすらジュリエットを見てて、パリスから守ってる。一瞬だけ2人で踊れる時があって、そのほんの一瞬の幸せと優しさと、この時間が続くことはないとわかってる切なさの中で踊るティボ、会場を飛び出すジュリエットを優しく止めて一瞬だけ目を合わせて心配そうな顔を向けて振り払われて立ち尽くすティボの切なさ。「しかし叔父上!」って言った後突き飛ばされる時、ヒロティボは床に叩きつけられるんだよね。あんなに大きくて強そうなのにそうなってしまうくらいもう弱ってる。「本当の俺じゃない」はさらにボロボロで。立てないくらいにフラフラで自嘲的な表情で。「今の俺を救えるのは愛する君だけジュリエット」って言った瞬間、月明かりに照らされるジュリエットのシルエットが出るの、最高に美しくて素敵な演出なのだけど最高に切なかった。そして想われて現れたジュリエットが想うのはティボルトじゃなくロミオなんだ...

 

綺麗は汚い

UFO日替わりネタ。達成くんありがとう。楽しかった!お気に入りは3/8ソワレの、マキュ「お前そんなの信じてるのか?子供だな〜」ベン「は?俺の方が身長高いし!」マキュ、じろって睨んでからのしょぼくれて無言。ベン「ごっごめんて...」です。4/3もほぼ同じネタだったから映像に残ります。チェックチェック(平間ボイス)子供だな〜ってからかったりめんどくさそうに興味なさそうにしてたくせに誰よりも早く飛び出すひらまきゅかわいい。君も十分子供だよ。平和でいいな。こんな感じで普段から2人でだらけてんのかなって思うとほっこりした。マキュ、ベンの話聞かずにゲームしてる日とかあったし笑 マキュ定点だから気づかなかったんだけど、前楽で初めて全体見たら、後ろのダンサーさんたちとセットが想像以上にふざけてて笑った。セブンイレブンパロディがエイトトゥエルブ?だったかな、そんなんになってた笑。
 ひらまきゅはちょいちょいエンジェル経験者だと改めて思わされるかわいい仕草が散りばめられてた。特に、また次の恋追い求める〜のとこ、進んでくひらまきゅが完全にエンジェルなんだけど、りょんベンはこっちこいよって感じで男の顔で待ってて、達成ベンはきゅるんきゅるんの目で乙女に待ってるから見え方全然違うのが見てて面白かった。それが男〜で一気にマキュが男の顔になるんだけど。マキュがベンにかすみ草の端くれをプレゼントしたこともあったなあ。指先サイズの白い花を贈るひらまきゅとそれにキュンキュンしてる達成ベン。何を見せられたんだ私は。
 踊るばあやには苦笑いしながら拍手してあげることが多かったんだけどご機嫌マキュの日は腰振りながら進んでったりして張り合ってて可愛かった。この曲のマキュは後半に向けてどんどん幼児化してた笑 ジタバタしたりふざけて踊ってみたり。でもなぜかえくぼのところで白目になった日があったのが未だに謎です。なぜそこで白目〜どうした〜 「あいつの気持ちを掴むのは難しい」のとこの顔、ここでも平間壮一が出るので可愛くて笑ってしまった(2回目)ハハハ〜の歌い方、ほんとにバカにしてるというか、鼻で笑っている感じで好きなんだけどハハハ〜て笑いながら愛なんて気まぐれっていうマキュの、恋を火遊び、使い捨てだというマキュの本当の愛は、恋は、ロミオだけなんだと思うとううぅ...となる。それから、ロミオの気持ちを掴むのは難しいっていう言葉も。それはマキュにとってもだから。そしてその言葉がある上でばあやが「愛の力は彼の心の硬い扉こじ開けて溶かした」って歌うのがしんどさに拍車をかけてくる。
 でもこの曲はほんと楽しい。振り付けも可愛くて結構覚えた。平間くんの低音がすごく心地よく聞こえるしコロコロ変わる表情がたくさん観れるしご機嫌な日は結構平間壮一がでる。そしてUFO墜落で突如蘇るカールさん、GHOSTの夏。曲終わりにひっくり返った後、気失ったり腰痛めたり足バタバタしたりいつも可愛いかった。さおりちゃんだったかな?モンタ女子に痛いの痛いの飛んでけ〜ってしてもらってた日もあったんだよ。去り際の熟女サイトのくだり、最初の頃は「だな」って返してたのに後半になって「熟女バカにするなよ」って返し始めた達成ベン面白過ぎる。君、いつ考えが変わったのさ?

 

2幕

序〜街に噂が

 出てくるときの振付、平間くんの、こういうシンプルな動きだけでも踊れる人だってわかる感じが好きだったりする。背中もたれかかって俯いてるマキュの、前髪がパサっと顔にかかって影ができてるのが暗い表情を一層強く感じさせられて辛いんだけど単純にビジュアルとして好きだったです...
 天使のような〜微笑み浮かべ〜の達成くんの高音と平間くんの低音のハモリすごく好き。すごく綺麗だからこそ切なさも引き立ってた。天使のような微笑み浮かべ俺たちを裏切るのかって、まさにその通りで。ロミオはジュリエットと結婚することでこの街を平和にできる、争いに終止符を打てると思っているから裏切っているという自覚は全くない。実際、裏切ってなどいないって言うし。だから2人にいつも通りの笑顔を向けられる。でも2人はその微笑みを簡単に受け入れるわけにはいかなくて。そのすれ違う悲しさが詰まっている言葉なのにすごく美しいハモリで届くのが余計に切なかった。マキュは2人の結婚を知った時、どうして?って思い、怒りがあったと思うけどもう自分とは一緒にいてくれない、自分のことは見てくれなくなるんじゃないかっていう不安が大きかったんじゃないかなと思う。マキュは周りをよく見てるけど子供っぽい部分や寂しがりやな部分もあると思っていて。ロミオの結婚を聞いて、不安に駆られて混乱してそれが怒りに変わって、"ジュリエットにロミオが取られてしまう"、が"キャピュレットに取られてしまう"、になって、憎しみがもともと強かったティボルトに全てぶつけにいってしまう。マキュはどんなにあがいても正式なモンタギューにはなれない。なのになにもしなくてもモンタギューでいられるロミオがモンタギューを捨ててジュリエットと結ばれようとしてる。家を守る義務は?という言葉にもあるようにマキュは正式なモンタギューの人間ではないからこそ誰よりも家にこだわってる。自分が一生手に入れられないものをいとも簡単に捨てて自分たちを裏切ろうとするロミオ。しかもそれをロミオは仲間を裏切ることにはならないと思ってる。それを知った時のマキュにはもう絶望しかなかったんじゃないか。自分をモンタギューに受け入れてくれて居場所をくれたロミオがモンタギューを捨てるということはマキュにとっては自分を捨てられることとそう変わりはなかったんじゃないかな。彼女と離れて生きていくことなんてもう考えられないっていうロミオの言葉、マキュやベン、モンタギューからは離れて生きていけるってことだよ。ロミオとベンは従兄弟という繋がりがあるけどマキュにはない。どんなに好きでも所詮他人。なのに他人どころか敵にあたるジュリエットへの愛を目の前で語られる。「僕はまだ君たちを愛しているんだ、でも彼女への愛はもっと深く強い」とまで。マキュにとってどれだけ残酷な言葉だったか。この曲でのロミオの言葉はどれも愛に溢れてるように見えて実はすごく残酷で。「君たちは知らない誰かを愛することの心の震えを魂の喜びを」って愛しているロミオに言われる辛さ。
 「本当ならばもう友達じゃない」「じゃあ自分の喉を刺すんだ」は私はどうしても本心だとは思えなくて。そこまで言えば考え直してくれるんじゃないかと期待してて、それでもロミオは変わらなかった。変わらないどころかその突きつけたナイフを平気でつかんで近寄って来る。もうロミオは何を言っても変わらない。ロミオに頰に手を当てられて訴えられて、それを一瞬受け入れそうになってからすぐ避けた日もあって、凄く印象に残ってる。その嫌がる顔があまりにも幼くて。この曲のラストの、マキュの「もう終わりだ!」は本当にマキュにとって重くて、比喩でもなんでもなく本当に全ての終わりを指していると思う。モンタギューの人間ではない自分を受けいれてくれたロミベンとの関係も、モンタギューでの自分の居場所も、居る意味も。もう終わるんだとわかったマキュにはもう自分で終わらせるしか道がなかったのかな。何より、この終わりの始まりを作ったのは自分だとわかっているから。一度、もう終わりだ!って言う前にロミオにナイフを向けながら反対側の手でこっちに来いって動きをしてた時があって。それが最期の歩み寄りだったんだろうなって思った。こっちに戻って来いよっていう。でもロミオは去った。その日の「決闘」では完全にロミオを無視してて必死で止めに来るのを嘲笑ってすらいるみたいだった。
 このシーンの切なさは、ロミオもみんなも間違ってないことだと思う。ロミオはジュリエットと自分が結婚することでこの街を平和にできる、争いに終止符を打てると本気で思っているし、目を覚まして、間違いに気づいて、憎しみ合うのはやめて許し合おうと訴える。それは別に間違ったことじゃないしきっと平和になるためには1番正しいことなんだと思う。でもロミオは冒頭でいざこざがあったと聞いたとき僕がいたらみんなを止めたのにって言うけど、私なんかは実際ロミオに止められたのかなあと思ってしまうしこの歌での言葉も綺麗すぎて理想的すぎて、現実を知らない、甘い、純粋すぎると思ってしまうようなところがある。「綺麗は汚い」にロミオがいないこともそれを物語っているというか。綺麗は汚いって感覚、ロミオにはない気がする。綺麗は綺麗、汚いは汚いって思っていそう。許しあうことが綺麗で争いは汚い。ロミオの中ではすごく単純な話なんじゃないかな。でも現実は違うしマキュ、ベンをはじめみんなはそれをわかってる。同時に、ロミオの言うことが正しくてそれが叶ったら平和になれるんだろうなってことも。それでもそんな簡単にいくわけないって思うから、ロミオのためにも、敵を愛しても幸せになれない、お前は甘い夢を見てる、目を覚ませって必死で止める。どっちも間違ってないからこそすれ違ってしまうんだ...

 

決闘〜マーキューシオの死

 多分1番日によって違いがあったシーン。毎回今日はどんななのかって怖くて緊張した。マキュが対渡辺ティボの時と対ヒロティボの時でも全く違っていて。感情も対ロミオが強いと感じたり対ティボルトが強いと感じたり怒りが強かったり悲しみや混乱が強く見えたり。「そんなことより自分の心配した方がいいぜ」の時点で少し泣いてる日とかもあって。凄い泣いてる日は、奴は俺を昔から〜が完全に泣き声だったりした。怒りの感情が強すぎて涙滲んでるみたいな。最初の煽り、前半は聞き取れないくらいの叫びとかあったけど後半になるにつれてだんだん言葉をはっきり言うようになって、それが叫ばずに静かにイラついた感じで言うようになって怖さが増してた。平間くんの口から暴言出ると興奮しちゃうおたくなのでクソキャピュレットとか黙れオラァとかうるせえな少しくらい黙ってろとか黙れクズどもとか聞くたびににやけちゃった。知らねえな!のとこも、「まあそんな怒んなって。知らねえけどなあ!」だった日は特に興奮した。このシーン1番しんどいけど1番興奮しちゃう。そしてボコりのプロ、ボコられのプロ。首締めるのも殴るのも蹴るのも殴られるのも蹴られるのもすごくリアルで重さを感じるんだよね。肉体のぶつかる音、重さが伝わってくる。おおっと〜キャピュレットの貴公子がいるぜ〜の「おおっと〜」がすごく前のめりで、"獲物を前にして舌舐めずりしてる"みたいに見えるのも興奮ポイント。でも、本当は悲しみや不安や、もう全てが終わるとわかっている恐怖があるはずなのにそれをかき消そうと自分の中にある怒りと憎しみの感情を引きずり出して狂ったように笑ったり叫んだりしながら"獲物"ティボルトに向かっていくマキュの激しい姿は痛々しい。そしてその激しさが終わるとき、マキュの命も終わる。
 減らず口を叩くなよって言われて口パクパクしながら挑発したり売れないロックシンガーって言われて自嘲気味にギター鳴らすフリしたり、スキップしながらティボに向かってった日もあって、ピエロって言われてそれを演じてるみたいで見ててとにかく痛かったんだけど、マキュはティボの言葉1つ1つにかなり反応してる。それに対してロミオの言葉には耳を塞いだり頑なに顔を見なかったりすることが多くて。聞きたくもないような自分を傷つける言葉は拾うのに自分を心配してる親友の顔と言葉は自分に入らない、入れないマキュの姿はもう誰にも止められないどうしようもなさがあって痛々しくて悲しい。でもロミオに泣きそうな顔で言葉かけてる日もあったんだよね。「なあ...?」とか「なんで?」とかそんな感じに見えたんだけど、それでもロミオの気持ちが変わらないことを悟ったからそこから完全にネジが外れたみたいに見えて。その日はその後ロミオを見ることは1度もなかった。ロミオはマキュの頰に触れようと手を伸ばすけど手が頰をかすめた瞬間にキャピュレットに引き剥がされて、あの一瞬だけは手が届きそうだったのにお互い手が届かない場所に行ってしまうのがいつ見ても悲しかったな。
 マキュが「吐き気が」を歌わずに叫んだりヒロティボが「お前だろ!」を歌わずに叫んだり、2人の感情のぶつかり合い、罵り合い、傷つけ合いの激しさは痛々しくて辛い。まるで互いに互いを写して、憎い相手に写っている自分を傷つけてるみたいな。互いの体を使った自分との戦い、決闘。マキュにとってもティボにとっても引けない最後の戦い。最初はロミオへの気持ちだった、ジュリエットへの気持ちだった、それがもう自分の元には来ないと分かり、その悲しみが、絶望が憎しみに変わりマキュはティボに、ティボはマキュにその憎しみを向けて、怒りに変えてしまう。2人の怒りの根源は愛なんだよなあ。2人は本当にどこまでも似ていて鏡写し。マキュは「街に噂が」でティボは「今日こそその日」で愛を憎しみに変え、怒りに変えて「決闘」でぶつけ合う。もう互いにぶつける相手が互いしかいないから。2人に違いがあるとすればマキュには自分を止めようとする存在がいるということなのかな。ティボルトを止める人は、「決闘」では誰もいない。ロミオは本気でマキュを止めたいんだよね。後ろから羽交い締めにして止めようとしてたこともあって。必死で止めたいロミオもそれを振りほどこうと激しく暴れるマキュもどちらも辛かった。ロミオが「やめるんだ2人とも」って止めに入って来る時に、マキュ定点をしてる私はずっと、マキュとティボに対して言ってるんだと思ってたけど、前楽にしてロミオのいう2人がマキュティボじゃなくてマキュベンだったことを知った。衝撃の事実。確かにベンは止めようとはしていないんだよね。「ヴェローナ」と同じで自分からは手を出さず、やられている仲間を助けるだけ。達成ベンに関しては、マキュのこと、戦わせてやりたいくらいの感覚だったんじゃないかなと思ってる。マキュを止めようとするロミオを制す顔をみて、そんな風に思った日があった。ロミオのせいなのにロミオに止められて、責めたいのに責められなくて頭がぐちゃぐちゃでもう止まれないマキュ、ロミオを殺したいはずだったのにマキュへの殺意まで生まれた結果マキュを殺してロミオは殺せずにロミオに殺されるティボ、殺し合いを止めたいロミオ、マキュに戦わせてやりたい気持ちがありながら止めたい気持ちもあってでも自分にはもう止められないと分かっててどうにもできないベン、みんなみんな辛い。ロミオとベンは誰もが自由に生きる権利があると"主張"しマキュは自由に生きたいと"願い"ティボは自由に生きる権利などないと"言い切る"構図も切ない。マキュは、ロミオの気持ちは変わらないとわかって、でも絶対にうまくいくはずなんてないとわかっているから、ティボがロミオを殺しに来ることも予想して待ち伏せていたのだろうか。もう終わりだとわかった今、最後に自分ができるのはロミオを、モンタギューを守ることだけ。せめて、それだけはしたいと思ったのか。大事な人を、自分を受け入れてくれた場所を守る。それともずっと殺したかったティボをやっと殺す明確な動機が、機会ができたと思ったのか。むしろ、今こそ殺る時だ、くらいの。始末してやるって明確に言うんだもんなあ。対してティボはお前は死ぬって言う。殺すじゃないんだよね。"お前、死ぬぞ?"っていうニュアンス。マキュを殺したいよりはロミオを殺すことを邪魔する奴は死ぬ(殺す)っていう。だからマキュがこの曲の序盤にやたらと刺激するような言葉使って煽るのは、自分はティボに明確に殺意を抱いてるのにティボの眼中に自分がいないことへの苛立ちもあるのかなあと思った。「そんなことより自分の心配した方がいいぜ」って言葉の中に、そういう苛立ちと挑発と、ロミオを殺そうとする奴は自分が始末してやるって思いとが詰まっているのかなと考えるとあの言葉を言う時のマキュの表情も含めてとても悲しい気持ちになる。そしてティボの言う"モンタギューの飼い犬"と言う表現が悲しいけど的を得てることも。ロミオの居場所を教えず待ち伏せて威嚇するマキュはまさに番犬なのだろうし暴れる姿はまさに狂犬。でもどんなにモンタギューのために、ロミオのために戦ってもモンタギューの血が流れていないお前は所詮飼い犬に過ぎないんだぞっていう皮肉。飼い犬って言った時、小南さんが犬の真似して挑発してるのは前楽で初めて気づいた。
 「決闘」はとにかく悲しいしひたすらに痛々しい。マキュはもう自分を止められないどころか自分をどんどん傷つける。「いつからロミオを好きになったんだ?」って言葉は、ロミオにジュリエットを取られた怒りに燃えてるティボを激しく煽る言葉だけど自虐的にすら聞こえて。自分はロミオが好きで、でもロミオはジュリエットを愛しててこの想いは叶わない。それでもロミオのために戦おうとしてる自分への皮肉みたいな。挑発しながら自分を傷つけてる。ティボのこと貴公子って表現するのもバカにしているようでいて自分は絶対になれない立場である"その家の正式な人間"を表す貴公子って言葉をわざわざ使ってたり。あの高さから一気に飛び降りる行為も、自傷行為に近いと思ってて。自分のこと大切にしてない、感情だけが前に出てて爆発してて体はただあるだけで全然大切にしてない投げやりな感じが。ティボに刺された後にまで笑ってたことがあったんだけど、刺されたって気づいてるはずなのに、まだ暴れてやる、殺してやるって感じで向かっていってでもふらついて倒れてしまうのもすごく悲しかった。
 最後、どんなにモンタギューに染まりたくても血だけは絶対に染まれなかったマキュが、自分の血でモンタギューの人間を染めるのはすごく切ない。ティボルトのナイフについた自分の血でキャピュレットも染めて。どちらの血も流れていないマキュはどちらにも染まれずどちらかだけを染めることもなくこの世を去る。ロミオはその血で染まった手でティボルトを刺す。ベンはロミオの手についたマキュの血とロミオが刺したティボの血で染まった血だらけのマキュのナイフを拾って去っていく。死ぬ間際にマキュがロミオを抱き寄せて、ロミオがマキュを抱きしめ返して頭を撫でてるのを観た日は本当に涙が止まらなかった。ロミオとベンヴォーリオに抱きしめられてモンタギューのみんなに駆け寄られたあの時、死ぬ間際、マキュは少しは自分は愛されているって思えたのかな。"俺は恨むどっちの家も"はモンタギューでもキャピュレットでもないマキュにしか言えない言葉。最期までマキュはそうなんだよな。3/6マチネではこの言葉の後、ははっ...って強がるように笑ってた。ナイフもうまく取れなくてやっと取れたのをロミオに止められて。最期の言葉も歌わずに台詞で、すごく小さくて弱く見えたのを覚えてる。マキュのソロのバックコーラスにもあるようにマキュはただ自由に生きたかっただけの人だと思う。「俺がいなくても戦い続けるんだ自由に生きるため」っていうくらいに。ロミオの"誰が誰を好きになってもいい"はマキュの願いでもあったはずで。でも自分の願いでもあるがゆえにロミオがジュリエットを愛してしまったことが辛かったし自分の願いでもあるからこそ、ロミオを愛しているからこそ、最期にはジュリエットを愛し抜けって言ったのかなと思ってる。"俺は死ぬんだ"って他人事のように言うマキュ。今までの激しさが嘘みたいに静かに淡々と、ああ、俺は死ぬんだなって悟ったマキュが最期に残すのはロミオへの愛、ロミオへの願いなんだなあ。ただそれだけで良かったんだよ、マキュは。"愛する友よ、別れの時だ"このマキュの最期の言葉、「街に噂が」での"もう友達じゃない"が効いて一層悲しさが増す。マキュにとっては本当に、愛する友だったんだ。
 マキュのベン呼びにも興奮したけどロミオのマキュ呼びも1回だけ聞けて泣いた。倒れたマキュに「マキュ大丈夫か?」って駆け寄ってきたんだもん驚いちゃうよ泣いちゃうよ。

 

どうやって伝えよう

 例の写真のマキュソロカット、こっちを見上げてナイフを差し出すみたいな角度だったから、小さなひらまきゅを大きなロミベンが撮ったからなのかな〜なんて思ってたらまりまきゅもバリバリ見上げ構図だった!え、自撮り?ナイフと自撮り?
 ロミオとジュリエットの結婚、マーキューシオの死、ロミオの殺人と追放、ジュリエットの自殺。嵐のようにたくさんのことが起きて過ぎ去って平和も希望も夢も消え1人になってしまったベンヴォーリオの揺らぎや、昨日までは世界の王になると言っていたのに今ではこの世界でとても小さな存在になってしまったことが、舞台上に1人佇む姿に表されててすごく好きだった。謎演出は別として、あの大きなセットが動きながらベンに影を落としていく、覆っていく演出は1人取り残され吸い込まれてしまいそうなベンが表現されてて好きだったな。本当に小さく見えるんだよね、このシーンのベンヴォーリオ。ロミオが夢に見ていた世界、自分やマキュの夢でもあった世界の全てが音を立てて崩れていくことを感じながら、自分がこの世界でどれだけ小さな存在であるのかも自分1人ではもうどうにもできないことも思い知らされる。もう自分には"伝える"ことしかできない、"伝える"ことができるのはもう俺しかいないんだ、もう自分とロミオしか残っていないんだ、と気づくベンはとても悲しいけど、"どうやって伝えよう"と悩んだベンがこの曲の最後に"全てをこの俺が伝えよう"と言い切る姿、決意する姿には、この人は今変わったんだ、と思わされるというか、ベンは生きることを選択する人になるんだという説得力があった。この1曲の中でベンヴォーリオは成長する。ベンは終わりを感じ恐れてたロミオやマキュに比べると今目の前のことだけを見てる、今だけを考えて生きてるっていうイメージだった。それが、争いに身を投じた青春が親友の死によって終わり、崩れていく自分たちの世界を見たことで初めて未来を考えたんじゃないかな。「狂気〜服毒」から「どうやって伝えよう」を通してベンは、ロミオとジュリエットが命をかけるまで変われなかった大人たちよりも、ずっと先に変わり始めてる。だからこそ、ロミオが死を選び本当に1人になっても、生きることを選択できる。ロミオと、マキュと、3人で夢見た世界を今なら作れると思えたから、「今 許し合おう」と言って最後に笑えるんだ。




長くなってしまった!この記事はとりあえずここでおしまい!曲の感想と言いつつほぼほぼマキュの話になってしまった...マキュの女だから...
でももっとロミオ&ジュリエットという作品について全体的な話もしたいし役ごとの話もしたいしマキュの話もしたりないからまた次の記事に書きます!どんだけ書けば気がすむんだって感じだけど。ロミジュリの話するの楽しいから...



 読んでくださった方ありがとうございました!考えすぎなくらい考えて勝手にしんどくなってるだけの狂気な量の文章ですが笑、書いてて楽しかったしロミジュリ愛こじらせまくってしんどかった!また書きます!気が向いたら次もお付き合いください( ¨̮ )